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小林佳与公認会計士・税理士事務所

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『相続』の視点から『不動産の税金』を解説
『不動産』を売却するときの税金

不動産を売却したときにかかる税金

個人が保有している不動産(土地等・建物等※1)を売却したときは、譲渡所得に対して所得税が課税されます

譲渡所得とは、不動産を売却することにより得られる所得(もうけ)のことです。

譲渡所得は、下記の計算式で算出されます。この計算式からも読み取れるとおり、譲渡所得税は、不動産を保有することにより得られた不動産の値上がり益に対して課税される税金です。従いまして、不動産の売却により損失が算出される場合には、譲渡所得税は課税されません。

譲渡所得=不動産の売却収入ー(不動産の取得費+譲渡費用)※2

不動産譲渡所得は、給与所得や事業所得などの総合課税の所得とは異なる所得税率で課税されますので、分離課税の所得に区分されます。

分離課税の譲渡所得は、不動産の所有期間に応じて長期譲渡所得短期譲渡所得に区分され、長期譲渡所得短期譲渡所得それぞれ異なる特別の税率が適用されます。従いまして、不動産を売却する際には、まず初めに、長期と短期のどちらの譲渡所得に該当するかの判定に注意が必要となります。

次の項目から、長期譲渡所得短期譲渡所得について御説明致します。

※1 土地等…土地、土地の上に存する権利 建物等…建物、建物附属設備、構築物

※2 特例及び長期譲渡所得と短期譲渡所得の損益相殺については省略しています。

長期譲渡所得について(判定・税率・軽減税率)

長期譲渡所得の判定

所有する土地等・建物等の売却所得が、長期譲渡所得に該当するのは、売却した土地等、建物等の所有期間(『土地等・建物等の保有期間について』参照)売却した年の1月1日において5年を超える場合です。

この所有期間は、売却した土地等・建物等を取得した日の翌日から引き続き所有していた期間であると定められています(措置法第31条第2項)

長期譲渡所得に該当する所有期間を、単純に取得から5年超と理解してしまいますと、期間計算を誤る可能性がありますので、『売却(譲渡)した年の1月1日現在』での所有期間であることに御注意下さい。

上の【設例】では、土地等・建物等の取得の日が2013年4月1日で譲渡の日が2018年9月1日です。単純な期間計算をしてしまうと、2018年4月1日で、所有期間は5年超と考えてしまいます。しかし、不動産譲渡所得の長期・短期の判定のための所有期間計算は、譲渡した年の1月1日までの期間を計算しますので、この【設例】では、2018年1月1日現在では所有期間は5年以下となります。

長期譲渡所得と思っていたのに短期譲渡所得と判定され、税率が高くなり税金が増額されることのないように、所有期間計算は慎重に注意深く行って下さい。

長期譲渡所得の税率

長期譲渡所得の税率は、次のとおりです。

所得税(国税)…15.315%(復興特別所得税を含む)

住民税(地方税)…5%

長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率)

個人が居住用として長期にわたり所有していた家屋やその敷地を売却した場合、長期譲渡所得に適用される税率が軽減されます。

所得税(国税)…10.21%(復興特別所得税を含む)

住民税(地方税)…4%

上記の軽減税率を適用できるのは、長期所有(売却した年の1月1日における所有期間が10年超)の居住用財産であること等の適用要件を充たしている場合のみです。特例を適用する際には、要件を充足していることの確認を慎重に行って下さい。

短期譲渡所得について

短期譲渡所得の判定

所有する土地等・建物等の売却所得が、短期譲渡所得に該当するのは、売却した土地等・建物等の所有期間(『土地等・建物等の保有期間について』参照)売却した年の1月1日において5年以下である場合です。

短期譲渡所得に該当する所有期間を、単純に5年以下と理解していると、計算期間を誤る可能性がありますので、『売却(譲渡)した年の1月1日現在』での所有期間であることに御注意下さい。

前述の『長期譲渡所得について~長期譲渡所得の判定』にある【設例】をご参照下さい。

短期譲渡所得の税率

短期譲渡所得の税率は、次のとおりです。

所得税(国税)…30.63%(復興特別所得税を含む)

住民税(地方税)…9%

土地等・建物等の保有期間について

土地等・建物等の売却所得が、長期譲渡所得と短期譲渡所得のいずれに該当するのかを判定するために、土地等・建物等の所有期間を計算する必要があることは上記に御説明のとおりです。

所有期間は、売却した土地等・建物等を取得した日の翌日から引き続き所有していた期間であると定められています(措置法第31条第2項)。そして、売却(譲渡)した年の1月1日現在までの所有期間を計算します。

そうしますと次に『取得の日』とはいつなのか、また『売却(譲渡)した日』はいつなのか、ということが重要になります。この点について、所得税基本通達に記されていますので下図で御説明します。

上図は、所得税基本通達33-9と36-12に記されている内容をまとめたものです。例えば、「他から取得した資産(農地以外)」の『取得の日』は原則として『資産の引渡しを受けた日』とするとされています。

上図を参考に、売却した土地等・建物等の『取得の日』と『売却(譲渡)の日』を確定させて保有期間計算をすることとなります。

不動産譲渡所得の計算方法

土地等・建物等の売却所得が、長期譲渡所得か短期譲渡所得か区分できましたら、次は譲渡所得の金額の計算をします。

長期・短期譲渡所得の金額は、次の計算式で算出されます。

譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除-損失の相殺

総収入金額について

土地等・建物等を売却したときの総収入金額は次の算式で計算します。

総収入金額=売却代金+固定資産税・都市計画税の精算金

固定資産税・都市計画税の精算金も総収入金額に含まれることに御注意下さい。

取得費について

取得費には、実額取得費概算取得費があります。実額取得費と概算取得費は納税者が有利となるように選択することが出来ます。それぞれについて解説致します。

≪実額取得費≫

実額取得費は、売却した土地等を購入したときに、実際に支払った購入代金や仲介手数料などの『取得に要した金額』と、取得後に支払った『設備費・改良費』との合計額です。算式は下記のとおりです。

実額取得費=取得に要した金額+設備費・改良費

建物等は減価償却資産ですので、上の式から減価償却費相当額を差し引きます。

実額取得費=取得に要した金額+設備費・改良費-減価償却費相当額

実額取得費は、実際に支出した金額に基づき計算しますので、契約書・請求書・領収書などの第三者が発行した書類を根拠資料として準備する必要があります。

『取得に要した金額』または『設備費・改良費』に含まれるものを下表に例示します。

1購入代金8土地造成費用
2購入時の仲介手数料9使用開始前の借入金の支払利息
3購入時に支払った立退料、移転料10契約解除に伴い支出する解約違約金
4購入時の契約書に貼付した印紙代11借地の更新料
5登録免許税(登記費用を含む)12建物の増改築代金
6不動産取得税13搬入費、据付費など
7特別土地保有税14その他取得のために要した費用

※業務の用に供される資産の場合、4・5・6・7の金額は、各種所得の計算上必要経費に算入されます(所基通37-5)。

≪概算取得費≫

概算取得費は、次の算式で計算します。

概算取得費=総収入金額×5%

実額取得費が不明な場合や実額取得費より概算取得費の方が大きい場合には、概算取得費を選択します。

概算取得費を選択した場合、建物等について減価償却費相当額を差引きする必要はありませんので御注意下さい。

譲渡費用について

譲渡費用とは『資産の譲渡に要した費用(所得税法第33条第3項)』であり、『資産の譲渡に際して直接支出した費用』と『資産の譲渡価額を増加させるために支出した費用』に区分されます(所基通33ー7)

譲渡費用に含まれるものを下表に例示します。

1売却時の仲介手数料
売却時の契約書に貼付した印紙代
売却時の登記費用(登録免許税、司法書士等の報酬)
売却のための広告料
売却のための測量費、不動産鑑定料
譲渡のために借家人を立ち退かせるための立退料
土地等を売却するために取り壊した建物の取り壊し費用及び取り壊した建物の取得費相当額
売買契約後に更に有利な条件で他に売却するために支出する解約違約金
その他譲渡に際して支出した費用
特別控除について

不動産の譲渡については、特別控除の特例が数多く設けられています。

特例の適用が可能な場合には、総収入金額から特別控除額を差引きすることが出来ます。その結果、譲渡所得額がゼロとなり税金が発生しないケースもあります。節税効果が大きいので、御自身の不動産譲渡取引に適用できる特例の有無を必ず調べましょう。

損失の相殺

不動産譲渡所得は、給与所得や事業所得などの総合課税の所得とは異なる特別な税率で課税される分離課税の所得として取扱われます。

二つ以上の不動産譲渡取引があり、譲渡益が計算される取引と、譲渡損失が計算される取引があった場合、同じ分離課税の譲渡損益は相殺することが出来ます。譲渡所得の計算式に『損失の相殺』とあるのは、複数の不動産譲渡取引において譲渡益と譲渡損が生じた場合の取扱いを示したものです。