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相続税の計算に際して、「法定相続人」を確定することは非常に重要な作業であり、間違いは許されません。
「法定相続人」とは何を意味するのか?また、なぜ重要なのかについて、皆様のご理解が深まれば幸いです。是非、ご覧下さい。
相続税法においては、「相続人」と「法定相続人」を区別して、各種規定が定められています。
相続人は、民法に定められている相続人から、相続を放棄した人と相続権を失った人を除きます(相続税法第3条第1項本文)。つまり、相続人は、民法に定める相続権があり、相続を承認し、実際に財産を相続した人となります。
一方、法定相続人は、民法に定められている相続人のことであり、相続を放棄した人がいる場合でも、相続放棄がなかったものとして取扱います(相続税法第15条第2項)。
民法第5編第2章に定められている相続人は、次のとおりです。
配偶者相続人 | |
配偶者 | |
血族相続人 | |
第1順位 | 子及びその代襲相続人(孫・ひ孫等) |
第2順位 | 直系尊属 |
第3順位 | 兄弟姉妹及びその代襲相続人 |
前述のとおり、法定相続人は、民法第5編第2章に定められている相続人のことであり、相続放棄者がいる場合には、相続放棄がなかったものとして取扱います。相続税法上、このような法定相続人の規定が設けられているのは、特に「法定相続人の数」を用いて控除額を計算する規定があるからです。
例えば、遺産に係る基礎控除額は下記の算式で求められます。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
この算式の「法定相続人の数」を「相続人の数」に置き換えて考えてみましょう。「相続人の数」と規定されていれば、意図的に相続人の数を増やして、控除額を大きくすることが可能となります。被相続人の配偶者と一人っ子が相続放棄をすることにより、被相続人の5人の兄弟姉妹が相続人となり、相続人の数が増えるケース等が考えられます(第2順位の相続人はいないものと想定)。
意図的に、相続を放棄して相続人の数を増やし、控除額を大きくするというような潜脱行為を防ぐために、相続の放棄があったとしても、人数の変動しない法定相続人を規定しているのです。
「法定相続人の数」を使って計算する規定は、次のとおりです。
いずれも相続税の計算上、非常に重要な規定です。
「法定相続人の数」を意図的に増やす余地をなくすために、さらに、相続税法には「養子の数」についての規定があります。
民法上は、養子が何人いても、法定血族(法律上の手続きを経て血のつながりが認められている者)であれば、相続人となります。この考え方を相続税法にそのまま適用しますと、やはり潜脱行為の機会を与えてしまいます。意図的に「養子の数」を増やして、「法定相続人の数」を増やすことが出来るからです。
そこで、相続税法は、このような操作が出来ないように、「法定相続人の数」に含めることが出来る「養子の数」を制限しています。
養子縁組により、2人以上の養子がいても、法定相続人の数にカウントされるのは、最大でも2人だけとなります。
上記の「養子の数の制限規定」は、相続税の計算上の取扱であり、「法定相続人の数」にカウントされなくても、法定血族である養子には、民法上の相続権が認められますので、相続人として財産を取得することはできます。(もちろん、財産を相続すれば納税義務も生じます。)この点にご注意ください。
相続税の計算では、「法定相続人」を正しく確定しなければ、控除額等が正しく計算されず、その結果、相続税額が過大になってしまうことも考えられます。
「法定相続人」を正しく確定するために、次の手続きを行います。
被相続人の出生から死亡までの戸籍を入手します。本籍地に変更があり、複数の市区町村から戸籍を入手する場合は、戸籍が連続していることを、必ず確かめなければなりません。(戸籍は本籍地の市区町村のみでしか取得できません。)
(1)相続人が第1順位(=子等)の場合
相続人の生存を確認するために、現在の戸籍を入手します。
(2)相続人が第2順位(=直系尊属)の場合
(3)相続人が第3順位(=兄弟姉妹)の場合
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