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租税特別措置法第69条の4に規定されている「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は、必ずや知っておかなければならない規定と言っても過言ではありません。
平成27年1月1日施行の新相続税法のもとで、新たに課税対象者になるのは、地価の高い都市部に土地を保有している方々であると想定されています。都市部に土地を保有している方々は、この規定を必ずお調べになり、要件に合致するのであれば、使わない手はないでしょう。さらには、生前対策により要件を満たし、相続開始時には活用できるよう準備しておくことも重要です。
相続税の基礎控除額の引き下げ等により、課税強化の方向にある相続税ですが、生活や事業の基盤となっている土地については、一定の配慮がなされました。「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」が、納税者が利用しやすいように見直されたのです。
この「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は相続税申告において、最重要な特例ですので「相続税の二大特例」と言われます。
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」について、次の4点が見直されました。
1と2は、平成27年1月1日から適用され、3と4は1年先行して、平成26年1月1日より適用されています。
特定居住用宅地等の限度面積の上限が330㎡に引き上げられました。
改正前の上限は240㎡でした。330㎡は約100坪です。
特定事業用等宅地等と特定居住用宅地等のみを特例の対象として選択する場合、限度面積の調整は不要となり、それぞれの限度面積(特定事業用等宅地等400㎡、特定居住用宅地等330㎡)まで併用して適用することが可能となりました。
最大400㎡+330㎡=730㎡まで適用できます。
改正前は、最大400㎡までしか適用できませんでした。(事業用・居住用・貸付用を合計400㎡の限度内で併用でした。)
(注意)貸付事業用宅地等を選択する場合は、改正前と同様に限度面積の調整が必要です。
改正前、二世帯住宅については「同居」の要件を、「住宅内部で行き来ができる構造であるか否か」という点で判定していました。つまり、住宅内部で行き来ができる構造の二世帯住宅は、被相続人と親族が同居していたものと解し、全体を一つの住居と捉え、宅地の全体を特定居住用宅地等に該当するものと認めていました。他方、住宅内部で行き来ができない構造の二世帯住宅は、区分ごとに独立した住居であると捉え、被相続人が居住していた部分は、他の要件を満たせば特定居住用宅地等に該当するものの、それ以外の部分は特定居住用宅地等に該当しないものとされていました。
外見上は同じ二世帯住宅であるのに、内部の構造の違いにより課税関係が異なるのは不合理であるとの指摘を踏まえ、二世帯住宅の取扱いが見直されました。
二世帯住宅であれば、内部で行き来ができるか否かにかかわらず、全体として二世帯が同居しているものとして、特例の適用が可能とされました。(但し、区分所有建物の登記が無い場合です。)
改正後の取扱いは法令上明確にされていますが、実際に特例を使う際には、要件に該当するか否かをじっくり検討し、専門家に確かめることをお薦め致します。
【参照】
租税特別措置法第69条の4第3項第二号イ
租税特別措置法施行令第40条の2第4項及び第10項
改正前、被相続人が老人ホームに入居していた場合、老人ホームに入居する前に居住していた宅地等は、一定の要件を満たす場合にのみ、特例の適用が認められていました。このような取扱いでは、現状にそぐわない問題があるので見直されました。新たな取扱いは法令上も明確にされました。
改正後は、法令上も明確にされた次の2つの要件を満たせば、相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていなかった場合でも、居住の用に供されなくなる直前にその被相続人の居住の用に供されていた宅地等を、相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等と同様にこの特例が適用されることとなりました。
尚、この特例の適用を受けるためには、改正前から相続税申告書に添付して提出することとされている書類に加え、提出を要する書類が定められています。(租税特別措置法施行規則第23条の2第7項第三号に規定)
ご親族が老人ホームに入居している、又は、入居を予定されている方々は、予め上記の要件規定を確認されると安心です。
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」を摘要できると、次のとおり宅地等の課税価格が大幅に減額されます。
宅地等 | 減額割合 |
特定事業用宅地等 | 80% |
特定同族会社事業用宅地等 | |
特定居住用宅地等 | |
貸付事業用宅地等 | 50% |
上表のとおり、この特例を適用できれば宅地等の課税価格が大幅に減額できます。特例適用により、相続税が大幅に減額できるのです。地価の高い都市部に居住の方々には、是非とも知って頂きたい特例です。この特例を活用できるように生前より検討されるのが得策です。
この特例の適用要件に合致するか否かの判断は、必ずしも単純ではありません。皆様方それぞれの「家族のかたち」により判定が必要です。この項には、改正内容しか掲載していませんが、小規模宅地等の特例については、「お役立ち情報」を随時掲載してまいります。是非、ご一読ください。
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